黄斑円孔とは、網膜の中心部の黄斑部網膜に穴ができ、視力低下によって中心部(見つめる所)が見えなくなるものです。(図4)
その原因が、高度近視によるもので網膜と眼球外壁が不均衡をきたしたことにで起こります。高度近視の眼は、通常より眼球が長く、特に眼球の後ろが伸びています(図5)。眼球外壁が伸びると網膜などが引き伸ばされ、薄く、弱くなり、特に弱い黄斑部に穴が開きます。そして突っ張っていた網膜がピンと弾けて網膜剥離が起こります。(図6)
手術はいくつか方法はありますが1つの方法としては、まず原因である外壁と網膜の不均衡をなおすために眼球外壁を一部切除し、縫い縮めて眼球を変形させることで外壁を網膜に近づけます(強膜切除短縮術)。(図7)それから硝子体を切除し、穴をふさぐためのガスを注入して押さえ込みます。その際には、周辺部の硝子体をしっかり処理する必要があるため水晶体切除を併用しますが、眼内レンズは挿入しません(外壁を極端に短縮しているため術後炎症が強く、また術後屈折が変動するからです)。
高度近視の眼は、網膜や網膜を栄養する脈絡膜も引き伸ばされているため、血流が悪く元々視力が不良であります。さらに黄斑部が裂け、穴ができているため、視力回復不良、ゆがみ残存、見えない部分(暗点)が残ることもあります。
手術で網膜剥離がなおり穴がふさがると、血流が改善しますので、視力上昇やゆがみが軽減されます。しかし、それらは術後1年ぐらいかかる場合もあります。視力改善しても、もう片眼に水晶体があるためコンタクトレンズや眼鏡が必要になります。
術後、周辺部の残存硝子体が収縮を起こし網膜に裂孔を形成する場合もあります。その場合はその部分の処置のために手術が必要となります。また、強膜切除短縮術は眼球外壁をかなり変形させるため乱視がかなり強くなりますが、2~3年で眼球がなじみ、乱視は軽減します。
中川眼科医院 一般眼科・網膜硝子体専門(糖尿病網膜症など)
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