黄斑円孔とは、中心部の黄斑部網膜に穴ができ、視力低下、中心部(見つめる所)が見えなくなるものです。
原因としては硝子体剥離が関与していると言われています。硝子体剥離とは、周辺部の方に硝子体が引っ張られ、全体的に網膜から硝子体が剥がれていくものです。(図2)硝子体が全体的に強く網膜に癒着している場合には、図2のように剥離せず、硝子体が周辺部に引っ張られた状態になります。剥離しない硝子体が周辺部に引っ張られると、それに癒着している網膜まで周辺部に引っ張られ、全周の周辺部から引っ張られるので、中心部の黄斑部が裂けて穴が形成されます。(図4)
手術は網膜面上から硝子体を剥離し、穴をふさぐためのガスを注入して網膜を押さえ込むものです。穴はこれでかなり閉鎖しますが、前述のように網膜表面には残存硝子体が必ず存在しますので、それが収縮すれば再び穴が開きます。こうなると残存硝子体を根こそぎ除去するため、網膜の一部の薄皮を剥がす必要があります。これでも閉鎖しない場合もありますが、ほとんどが閉鎖します。1回目の手術で薄皮を剥がさない理由は、網膜の一部を剥がすと視力予後が多少悪くなるからです。しかし1回目の手術最終に穴がふさがらない場合は1回目の手術であっても薄皮を剥がします(手術終了時に穴が閉鎖しないと後にほとんど閉鎖することがない)。
基本的には水晶体は残して手術可能ですが、白内障で透見不良時は術中に白内障手術を併用するかもしれません。術後の炎症が強く出現すると想定された場合は眼内レンズを入れません。入れない場合は、眼底が安定した時に眼内レンズを入れることが可能です。
黄斑部が裂け、穴ができているため、視力回復不良、ゆがみが残存、見えない部分(暗点)が残ることもあります。また硝子体を剥離する時にかなり強く網膜と癒着している場合は剥がすだけで網膜にダメージを与えることがあり術後暗点が新たに出現する場合もあります。上膜を剥離した後は、牽引がとれ徐々に網膜が伸びていくために術後1年ぐらいで視力上昇やゆがみが軽減する場合があります。
手術後に穴が再度開いた場合は、手術前よりも視力は低下します。というのは、網膜を圧迫する硝子体がなくなったことで穴の周りの網膜剥離が広がるからです。
また周辺部の残存硝子体が収縮を起こし網膜を引っ張り裂孔が形成される場合もあります。その場合はその部分の処置のために手術が必要となります。
中川眼科医院 一般眼科・網膜硝子体専門(糖尿病網膜症など)
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