加齢により黄斑部網膜(「目の解剖について」を参照)が機能低下して起こる病気です(図4)。人の身体には栄養不足の所があれば助けようとする働きがあります。黄斑部網膜も機能低下、栄養不足が起こると、不足した栄養を補おうとして血管が新しく作られます。そして脈絡膜は栄養不足の黄斑部網膜に栄養を送る為の新しい血管を黄斑部へ伸ばしていきます(図5)。この血管は普通の血管とは違い弱く、破れ易いため、黄斑部網膜下に出血します。そして出血により視力が低下します(図6)。
手術は、網膜を切開し、網膜下の出血を除去するものです。術後は網膜を圧迫するためガスを注入しますので約2週間下向きがが必要になります。怪我するとかさぶたができるように切開された網膜周辺部にもかさぶたができます。そのかさぶたは皮膚を引っ張るように、網膜を引っ張り、網膜剥離を起こすこともあります。眼内では増殖していく組織ということで、そのかさぶたを増殖組織と言います。この増殖性変化が強く起こると網膜剥離に至るため、それを処理するために手術が必要になります(「硝子体手術について」を参照)。最近は大出血前に硝子体内に新しくできた血管を退縮させる薬剤を数回注射し良好な経過をたどる場合も多くなってきています。
元々加齢による黄斑部機能低下に加え、黄斑部網膜下に出血したことにより、さらなる黄斑部機能低下を招いている為、手術施行しても視力改善は不良で、脈絡膜からの血管は除去できませんので再出血もあります。しかし、脈絡膜から伸びてきた血管が少しでも黄斑部からずれていれば出血除去するだけで視力は多少改善します。
中川眼科医院 一般眼科・網膜硝子体専門(糖尿病網膜症など)
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