黄斑部網膜上膜形成症とは、網膜の中心部の黄斑部網膜に薄い膜が形成され、黄斑部網膜にしわを作るもので、ゆがみを自覚する病気です。
上膜とは硝子体剥離が起こった後の残存硝子体繊維が収縮を起こしたものや、普通より多く繊維が残ったものです。(「目の解剖について」を参照)それが収縮して網膜にしわを形成しますが、何かの病気が原因で上膜を形成する場合もあります(図4)。
上膜が網膜にチューインガムのようにべったり癒着を起こしている場合、剥がしても多少残存したり、剥がす時に網膜にダメージを与えることがあります。また癒着が強い場合、網膜に裂孔が生じる場合もあります。この場合は裂孔を光凝固で閉鎖し少量のガスで圧迫しなければならない為、約1週間ほど下向きが必要になります。基本的には水晶体は残して手術可能ですが、白内障で透見不良時は術中に白内障手術を併用するかもしれません。その場合は、眼内レンズを同時に挿入する予定ですが、術後の炎症が強く出現すると想定された場合は眼内レンズを入れません。入れない場合は、眼底が安定した時に眼内レンズを入れる予定です。(「硝子体手術について」を参照)
周辺部の残存硝子体が収縮を起こし網膜を引っ張り裂孔を形成すれば、その処置のための手術が必要になります。網膜の障害が強い場合には、視力回復困難、ゆがみが残存、見えない部分(暗点)が出現したりする場合があります。上膜を剥離した後は牽引がとれ、徐々に網膜が伸びていくために術後1年ぐらいで視力上昇やゆがみが軽減する場合もあります。
中川眼科医院 一般眼科・網膜硝子体専門(糖尿病網膜症など)
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